身内から新NISA制度を説明せよ、と要請を受けたので、簡単に新旧制度を自分用にまとめておきます。
一応、金融庁HPなどを参照したので、誤りはないかな…と思いますが、誤っていても責任はとりませんので、悪しからず。
制度のまとめ
2023年までのNISA制度
国税庁HPが詳しいです。(税金系はその辺の解説記事を見るよりは、国税庁HPを参照したほうが自分の求める情報が得やすい気がするので、とりあえず「〇〇 国税」で調べると吉ですね。)
ご存知の通り、現行制度はNISAとつみたてNISAの選択制になります。
限度額はつみたてNISAが40万円×20年=800万円、NISAが120万円×5年間=600万円です。
No.1535 NISA制度|国税庁 (nta.go.jp)
NISA
NISAは、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成26年から令和5年までの間に、非課税口座で取得した上場株式等(投資額は年間120万円が上限)について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税とされる制度です(年分ごとにつみたてNISAとの選択適用)。
つみたてNISA
つみたてNISAは、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成30年から令和24年までの間に、非課税口座で取得した一定の投資信託(投資額は年間40万円が上限)について、その収益の分配やその投資信託を売却したことにより生じた譲渡益が、累積投資勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長20年間非課税とされる制度です(年分ごとにNISAとの選択適用)。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは、20歳未満(口座開設の年の1月1日現在)またはその年に出生した居住者等を対象として、平成28年から令和5年までの間に、未成年者口座で取得した上場株式等(投資額は年間80万円が上限)について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税とされる制度です。
なお、NISAやつみたてNISAと異なり、上場株式等の配当等や売却代金の払出しに一定の制限が設けられています。
最終的にはつみたてNISAのほうが枠が大きいですが、年間40万円しか積み立てられないため、年間の投資可能額が大きければNISAのほうが早く非課税メリットを得られます。
また、つみたてNISAは投資信託の積み立てに限定されるので、投資対象の自由度はあまりありません。
個人的には、年間の投下可能資産が一定以上なのであれば、つみたてNISAよりも通常のNISAのほうがメリットが大きいかなと感じます。
ただし、2024年以降は新制度に移行するため、上記は2023年だけの話ではあります。
まだ利用していない場合はあまり考えずに120万円投下できるなら通常のNISA、40万円程度の余力ならつみたてNISAでいいと思います。
2024年以降の新NISA開始後に旧NISAがどういう取り扱いになるかは後述します。
2024年以降の新NISA制度
国税庁のHPには情報記載がない(施行されていないからかでしょうか)ですが、金融庁のHPに開設があります。
表やQAもあるのでかなりわかりやすいですね。
以下、新NISAの特徴の抜粋です。
- 非課税保有期間の無期限化
- 口座開設期間の恒久化
- つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
- 年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
- 非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は、1,200万円。また、枠の再利用が可能。)
イメージとしては、従来のつみたてNISA(本件後のつみたて投資枠)と通常のNISA(本件後の成長投資枠部分)が併用可能になった上で、利用可能枠が拡大、さらにいずれのNISAも期間が無期限化したような形です。
大盤振る舞いですね。
非課税限度額はつみたて部分が年120万円まで、成長投資部分が年240万円まで、累積で合計1800万円までが非課税になります。
但し、内枠で成長投資枠が累計1200万円までに設定されていますので、成長投資枠だけで1800万円使うことはできないことに注意が必要です。
年間360万円を5年積み立てると1800万円になりますので、5年間つみたて枠、成長投資枠をMAX積んでいくと、非課税枠を最高効率で活用できます。
金融商品の購入後の非課税期間は無期限なので、従前のように出口戦略を気にする必要はありません。
ロールオーバーとか、その辺のワードが出てこないことが気になる人もいるかと思いますが、今後は関係ないので忘れてて大丈夫です。
尚、1800万円の枠は売却すると再利用が可能なので、利益を確定して別の投資対象に乗り換えることはできます。
とはいえ、年間の投資枠が復活するわけではなく、自由に入れ替え可能なわけではありません。
5年以内に売却すると非課税枠の非効率は発生するので、実態としては、6年目以降に売却で生じた空き枠に追加投入を行うことができる、というだけですね。
2023年までのNISAと2024年以降のNISAの関係
尚、2024年以降においても、2023年以前のNISA制度で購入した投資資産については制度上の影響を受けず、併存させることができます。
以下が金融庁のQAです。
- 既に現行のNISA制度(一般・つみたて)で保有している商品を売却する必要はありません。
- 購入時から一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間、そのまま非課税で保有可能で、売却も自由です。
- ただし、非課税期間終了後、新しいNISA制度に移管(ロールオーバー)することはできません。
2023年までやっていたNISAについて、特に制度変更でやることはない、と書いてあるだけです。とてもわかりやすいですね。
通常NISAは5年間のみの非課税枠なので、通常NISAよりもつみたてNISAのほうが残存期間が長いため、2024年度以降の制度も考えると、若干有利な気もします。
まあ、今からどうすることも出来ないので、あんまり考える必要はないですね。
雑感
配当益や譲渡益には20%課税されるのですが、ちりつもでけっこうな金額を徴収されるので、非課税枠の拡大は活用するべきです。
幸い、従来NISA枠とは全く干渉せず、従来制度のように積み立て枠と成長投資枠の選択ではないので、単純に枠を全部使っていく方向で問題ありません。
また、新NISAは年間360万円と相応の金額枠があり、MAX1800万円が無期限で非課税になるので、従来のNISAと比較してもかなり枠が大きいです。
夫婦で見れば3600万円の非課税枠があることになるので、大半の家庭では非課税枠のみで投資が完結するのではないかと思います。
その点、従来のNISA枠ですと、枠が小さかったので、投資資産が一定額を超えてくると、どうしてもNISA枠投資部分で損をして非NISA投資部分で益が出た場合に損益通算できない弱点があり、どの口座でどの資産を買うかが若干悩ましかったのですが、枠が相当大きくなったので、かなり単純になったのではないでしょうか。
(トータルでそれを超える場合はまた考えることが必要ですが…)
尚、成長投資枠が相応に大きいことを考えると、商品が限られる銀行での開設よりは、オールラインナップ購入できる証券会社のほうが望ましいです。
現行NISAでなんとなく銀行で口座開設している方は、ネット証券などに切り替えておいたほうがいいかもしれませんね。